澪の小説ブログ

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ブラック企業からは心置きなく逃げろ! 4

mio-novel.hatenablog.com

の続き、今回はブラック企業シリーズの4記事目です。

 

 

社長と共に会社内の編集スタジオに入り、腹を括って退職する事を伝えた。

 

社長はずいぶんと意外そうで、残念そうな顔をしていた。

そして、理由を訊かれた。

 

退職したい理由の大部分は、会社の管理体制と教育体制への疑問だった。

だが、そこは本音と建前を交えて伝える事にした。

 

業務時間により、自分の時間がなくなっていた事。

体力的にも限界があった。

 

その2つを挙げた。

自分の時間というのは、趣味に費やす時間などもそうだが、実は前記事では割愛したが、繁忙期の際に祖母が倒れて運ばれた事があった。

母や妹、叔父が病院などで頑張ってくれたお陰でなんとか無事でしたが、自分は仕事の忙しさ故に駆け付ける事すらできませんでした。

会社に着いたら連絡を取る暇が一瞬すらなかった為、どうなったかもその時期は気が気でない状況でした。

家族や親族がどうなっても助けになれない事を考えると、どうしてもこの仕事を続けるという選択ができなかった。

 

この事は社長にはやんわりと伝えました。

繁忙期が明けても、祖母は入院中であった為、まだしばらく看病も必要という段階でした。

仕事内容に不満があるとかではないし、採用していただいた事には本当に感謝していた。

その事も伝えた。

しかし、入社してからというもの、友達と顔を合わせた機会は入社1ヶ月目の2回ほどだった。

LINEでの連絡すらまともにできなかった。

趣味のギターを弾く時間もほとんどなかった。

アニメ、ゲーム、テレビ、その他のエンタメもほとんど絶たなければならないほどの過重労働で、休みも突然潰れるといった事が当たり前だった。

そこまでの犠牲は払えないと思うようになってしまった。

こんな気持ちのまま仕事を続けるのはいかがなものだろうと思い、退職を決断した。

そう伝えた。

 

すると、社長からは『ついこの間も○○から退職を言い出されたぞ、どういう事だ?』と言われた。

※○○=少し前に退職を伝えた仲の良い男性社員(前記事をご参照下さい)。

『続け様で申し訳ありません。』とだけ答えた。

別に口裏を合わせて時期を見計らって一緒に辞めようとしたわけではない。

 

改めて、退職する事への謝罪と採用してくれた事へ感謝を述べたが、『そういうのいらない。』と言って、社長はそのまま部屋を出て行ってしまった。

その日は事務方の社員が何人か出社していたが、現場方は私しかいなかった。

私は事務室に行き、事務方の人達に、今しがた退職を伝えた事を伝え、退職する旨を伝えた。

驚いた様子ではあったが、了承してくれた。

事務方の人達はとても優しかった。

何時辞めるのかと訊かれたが、契約書には『退職の際は1ヶ月以上前に申し出ること。』と書いてあったので、『1ヶ月以内であれば、そちらの都合に合わせます。』と答えた。

先に辞めた仲の良かった社員達は、皆即日辞めていたので、自分もそうしたかったが、総務の人の判断で、今週いっぱいで、となった。

また、その日は偶然にも予定されていた仕事がクライアントの都合でキャンセルとなった。

ここも総務の人の判断で、その日は帰宅して良いとなった。

週の半ばであった為、こうして私はあと3日で退職となった。

 

思ってもみなかった早上がりとなり、私は会社から出ると、途端にお腹が減り出したのを覚えている。

きっと、緊張が一気に解けたからだろう。

これで正式に退職する事が決まった。

これに勝る嬉しさは、入社してから1度もなかった。

残り3日はどんなに辛くても仕事を頑張ろうと前向きになった。

 

翌日、出社してから、社員の何人かに直接退職する事を伝えた。

女性社員は皆、初耳だったようだが、『お疲れさまでした。』と言ってくれた。

中には本当に残念がってくれている(ように見えた)人もいた。

この会社での救いは、同じ境遇の新人仲間と事務方の人達、女性社員が優しかった事だ。

しかし、現場方の男性陣は酷いものだった。

全員ではないが、フリーランスの人も。

また、中にはクライアントでもとてつもなく横柄な人もいた。

クライアントはともかくとして、そういうところを直していけば、人が定着するのにと思った。

※ちなみに、クライアントの某会社の社員は新人に目を付けて、仕事とは関係ない部分まで徹底的に攻撃して来る陰湿なやり方でした(ヒント、受●料、~をぶっ●す)。

 

その日、社長は出社していなかった。

男性社員にも伝えたが、男性は皆既に聴いていたようだった。

連絡網のようなものでもあったのだろうか?

あの無賃上司(こちらも前記事をご参照で)は軽くスリッパを投げて来て、『迷惑掛けたんだから、もっと恐縮して言えよ。』と言って来た。

色々と思う事はあるが、喧嘩はしたくないし、できれば揉めずに辞めたい為、イエスマンとなり『はい、すいません。』とだけ言った。

そもそも、この人が自分の都合で独り善がりな規則を勝手に作っていたのがいけないのだが。

フリーの人達には挨拶は省略した。

 

その翌日は、割りと重めな仕事が朝からあった。

しかし、退職という名の終わりが観えると、人は頑張れるもので、前半は難なく終わらせる事ができた。

後半も重い仕事があったので、私はクライアントが来るまでの間、ミスがないように徹底的に仕事の流れをおさらいして、できる限りの予習をする事にした。

すると、その日は社長が午後から出勤し、私がいた部屋に入って来た。

そして、こう言った。

 

『おい、お前、何で辞めるんだ?』

 

それは2日前に言ったのにな、と思い少しだけ言い回しを変えて再度伝えた。

『結局、この仕事に魅力を感じなかったんだろう?』と言われたが、決してそうではなかった。

この会社が良い会社であれば、私はそこでの仕事を極めたかったから。

その後、文句がずっと続いた。

 

『これだけしてやったのに辞めるなんて、どうかしてる。』

『お前が入社してから今日まで、お前はここで無駄な時間を過ごしたんだぞ!分かってるのか?』

『何で半年経ってから辞めるんだ?』

『ここで辞めたら、お前はどんな仕事をやったって続かないぞ。』

『ここにいりゃ一生安泰な技術を身に付けられるんだぞ!』

『自分の時間が持てない事ぐらい面接の時に言っただろ!』

 

そんな事を他の社員がいる前で、延々と40分ぐらい言った来た。

この40分を次の仕事の準備に使いたかったが、私がまとめた資料を指差して、『ほら、お前が持ってるそれだって無駄なもんだ!』と言って来た。

しかし、穏便に辞めたいと思っていたので、全てにすいませんと返した。

 

無駄な時間を過ごしたと社長は言っていたが、これ以上無駄にしない為に私は退職すると決断したのだった。

半年経ってから何で辞めるんだ?と言っていたが、それは繁忙期に戦力になれと言われていたからだ(きっと、その前に辞めていたら、何でこんな大変な時期に、と言われていただろう)。

一生安泰の技術を身に付けられると言っていたが、それは確かに魅力は感じていた(一生かどうかは疑問だが)。

だが、それをも投げ出したくなるほど、会社の体制は酷かったのだ。

自分の時間なんて持てないと面接時に言ったと言っていたが、これはハッキリ言えるがそんな事は微塵も言われていない。

さすがにそんな事言われていたら、そんな会社には入りません。

 

辞めると決まった以上、最後はしっかりと仕事をやると決めたにも関わらず、それが無駄だと一蹴する社長を観て、退職する事は間違ってないなと思った。

私は当時、もうすぐ30歳を迎える29歳であった。

30過ぎてからの就職はキツいという言葉を聴いた事があったので、こんなブラック企業でも、辞めて大丈夫だろうかという思いが多少なりともあった。

そんな思いも吹っ飛んだ。

こんなスタンスの会社にいる方が間違いだ。

やがてクライアントが社内に到着し、後半の仕事に取り掛かった。

社長は出て行ったが、酷い酷いと廊下で吠えている声がその後も聴こえて来た。

結局、後半の仕事の予習は全くできなかった。

 

 

 

続く